崎原 一成

「人生にとって尊い一日を過ごしていく地域に」

私は1960年呉市に生まれました。この久比という土地は、祖父が農業(柑橘)により生計をたてていた場所です。父は医者になり、また伯父梶原哲夫は、この久比で医院を開設し(現まめな本部、食堂)地域医療に従事していました。
父や伯父は第2次大戦で軍医として出兵し、姉たちはこの地に疎開していました。
父が他界したとき、遺言にはこの家を有事の際の避難場所として活用せよ。決して売却してはならぬと。

家屋の維持管理や柑橘畑をどのように継続していくか?定年になったら延長せず、身体がまだ動くうちに農業知識や技術を学び対応していこうと考えていたところでした。

まめなとの出会いは、2018年の年末に梶原四郎従兄より久比の梶原医院と崎原邸を地域活動の施設として活用したいというプロジェクトを聞いたのが始まりでした。2019年3月にまめな代表幹事の更科氏、梶岡氏、三宅氏より、活動主旨の説明を梶岡氏実家にて聞きました。

相互扶助!介護のない世界!を目指すというビジョンは想像し難いものでした。

久比ベースで初面談

営利を目的とせず地域密着型の活動をしていく。何故か報徳思想を感じました。その他にも井戸水の調査、古民家の建築調査、農業テクノロジーや学育など色々なプロジェクトテーマで地域に根づく活動をしていきたいという説明があり、農業知識を習得したかった私は次第に興味が湧きだしました。

2020年8月に孫泰蔵氏に会いました。幸せとは?自分の人生をいきいきと生きる。希望を持って未来を切り拓いていける子供になってもらいたい。世界は自分で変えられるという思いを育むなどお話を聞き更にわくわくしたのでありました。
崎原邸の活動内容を福崎氏と大橋氏から聞き、「学育」の場として自ら興味のある事柄を探求する、という考えに非常に共感しました。

孫氏との崎原邸記念写真

“考える力“を育むのは大切であり唯物主義に走りがちな昨今、そこにある物で自分たちの手でつくってみる。感性を豊に育む学びの場というと対象が子供と思いがちですが大人であっても知らない世界があるわけで、i色々な知識を蓄える事は知的財産になり有意義な人生を歩むことができると思います。

今崎原邸では、ワークショップ、音楽会、健康教室、研究発表会など、地域の皆さんも交えて活用されています。その他にも島の寺子屋という活動をきっかけに小中学生が集まり、学校帰りに寄って遊びや学習をしている姿を見ると嬉しく思っています。

先日は小学校低学年の男の子と女の子に誘われ、鬼ごっこやバトミントンに興じて疲労困憊ではありましたが充実した、いい汗をかかせてもらいました。

久比うどんの会

先般、久比文化を復元する平釜研究の一環として、久比うどん汁を作る会が開催されました。子供の頃に食べた懐かしい味が蘇り地域の方々と接して色々な事柄を聞き祖父や父、叔父たち以外の久比の話し(歴史)を聞き知ることができました。

みかん倉庫は、訪問介護のナース&クラフトのファブラボや図書室また、ちょっとしたお酒を飲む場所は後東氏が汗かいて良い感じに仕上げてくれました。これらの建屋が見違えるほどに変身し様変わりして、息を吹き返したことを嬉しく思っています。

一方、柑橘畑の方は、2019年3月の初会合の席で三宅氏が日本酒をベースにレモンを使用したお酒の開発をしていて、梶岡氏の指導に基づきオーガニックレモンにチャレンジされているとお聞きし、私の畑もこの有機栽培でいければいいなと考え始めていました。
今この畑は若い仲間たちが農業を学び企業を目指しているので、自由に使って試行錯誤、してもらっています。島の人々の中には農薬を散布しないと良い品質の品物ができない。雑草が多くて害虫が発生してしまうなど色々なお話しを聞くとオーガニック品は、まだまだ色んな壁があります。人的被害が少ない有機栽培は重要と考えていて、私自身も勉強し応援推進したいと考えています。

畑には時に猪が侵入して被害も発生し対応に苦慮していますが、人的被害がないのが不幸中の幸いです。

また、2022年3月にヨットを寄贈して頂き、新グループ海部ができました。私も船舶免許を取得していますので協力させて頂いています。まさかこの年でヨットを習うとは!タックするよ!何?アタック?舵を引いて!
何もかも新鮮で形川氏や原田氏より操船技術を学んでいる最中であります。

エバブルーテクノロジー野間氏やSenseFoil末田氏の自動で帆走させようというプロジェクトにも参加させて頂いています。新しく船を作るのでなく既存の船をテクノロジー活用する構想。久比に浮かんでいる昭和時代に建造されたみかん船(農船)の活用チャレンジは、まさに今からの時代に必要な思想だとわくわくしています。

まめなにはたくさんの人たちが来訪されています。私の今後の過ごし方としては、来島される初対面の方々お話しさせて頂き、身体を動かしながら充実した日々が過ごせれば良いなと考えています。

この場所がより一層、相互扶助コミュニティの良い場所となり、楽しみ、時には悩み、人生にとって尊い一日を過ごしていく地域になることを、亡き祖父母や父母、伯父伯母たちもきっと大喜びであろうと信じています。